Google Chromeに関してひとこと
今回Googleが発表したウェブ・ブラウザー、Google Chromeは、ひと言で言えば、「安定度・安全度を高めるために、それぞれのタブを別プロセスで走らせるタブ・ブラウザー」である。
95年にIE3.0を設計した時には、タブのコンセプトも存在せず、セキュリティの問題もそれほど強く意識していなかったので、ウィンドウごとに1スレッドを割り当てたマルチ・スレッドを選択した訳だが、ここまでウェブ・アプリケーションが重要になってくると、マルチ・プロセスに移行するのは当然。特定のページ上でのJavaScriptの挙動がおかしくなったからと言って、ブラウザーすべてが落ちてしまう今までの設計が異常。
一つのウィンドウ下で管理させるそれぞれのタブにプロセスを割り当てる、一般的に一つのウィンドウに一つのプロセスやスレッドを割り当てる通常のGUIアプリケーションとは異なるが、ユーザー・モデルとリソース管理は別物ということを意識すれば、当然との流れ言えば当然、典型的な「コロンブスの卵(=誰かがやれば当たり前のことになる)」とも言える(注:IE8はすでにそうしている、という指摘あり)。
せっかくここまでやるのであれば、同じタブ内でドメインを移動した時にもプロセスを切り替えるべきだと思うんだが、いかがだろうか。クロスドメインのセキュリティを徹底的に強化した先はそこだと思うんだが。
URLバーをタブの下に持ってくるというのも、ユーザーモデルをUIにキチンと反映させることを考えれば当然と言えば当然。既存のブラウザーがインクリメンタルに進化した結果たどりついたタブ・ブラウザーという形を、ユーザーモデルからキチンと見直した上でURLバーをタブの下に持って来た点は評価できる(注:Operaはすでにそうだ、という指摘あり)。
Googleがレンダリング・エンジンにWebKitを採用する・独自の高速JavaScriptエンジンを作っているらしい、という話は以前から業界の人々には知られていたので、目新しい話ではないが、コンパチビリティで一番苦労する作業をAppleと協力して、比較的純粋なエンジニアリングで勝負できるJavaScript VMは自分で作るあたりが、GoogleらしいといえばGoogleらしい。
ターゲットユーザーを考えれば、短期的にマーケットシェアを失うのは、IEではなくFirefoxだろう。私の場合は、すでにWebkitベースのSafariをメインで使っているので、OS-X版さえ出してくれれば乗り換えは簡単だ。当然、長期的にはIEにも影響を及ぼすだろうけど、結局は「最初から入っていたブラウザー」を使う人が多いことを考えれば、Googleがすべきことは、Dellなどのパソコンメーカーを説得して、デフォールトのブラウザーにしてもらうこと。
Googleにとって、戦略的にもっとも大きな意味を持つのは、これによりGearsの普及が大きく進むこと。Gearsの普及が進むことがGoogleにとってどうして重要なのかに関しては、長くなるので別の機会に。





