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PhotoShare のオフ会が開催されるそうです

 SNSの主役はアプリケーションやウェブ・サービスではなくて参加しているユーザーそのものだ、ということはいまさら言う必要もないとは思うが、PhotoShareという「場」を提供している管理側としてはとても喜ばしいことに、オフ会が開催されることになったそうである(くわしくはこちらこちら)。

 子供のころ、学校が終わるとまっすぐに近所の公園に行ったのは、そこのブランコや滑り台が格別に面白かったわけではなく、そこに行けば友達がいたから。そこで気のあった仲間たちと「缶蹴り」や「だるまさんがころんだ」を遊べるからこそ毎日のように通っていたわけだ。

 ユーザーの方々からは、「PhotoShareが面白い」というありがたい意見をたくさんいただいているが、実際に面白いのはPhotoShareというアプリケーションではなくて、そこに投稿されている写真だったり、写真をネタに展開されているコミュニケーションであったりする点はとても重要。

 その意味でも、健全なコミュニティーが育って行くことが何よりも大切で、ユーザー主導でオフ会が開かれるなんて、管理者側が願ってもなかなかかなう話ではなく、本当にすばらしいことだと思う。

 オフ会であるが故に私のように物理的に遠いところにいるユーザーが参加しにくいのが難点なのだが、物理的に参加出来ない人もPhotoShareを通じてバーチャルに参加できないだろうか、と考えたりしている。リアルタイムで経験を共有できるPhotoShareであれば、渋谷でのオフ会の開催と同時に自宅からPhotoShareを通じて参加、というのも決して無理な話ではないはず。何か良いアイデアはないかな...と。

ターゲット・ユーザーとユーザー・シナリオを絞り込んで大手との直接競合を避けるビジネス戦略

 PhotoShareがiPhoneユーザーのみを対象にしていることに対して、「なぜ他の携帯電話もサポートしないの」「なぜウェブから写真を投稿できるようにしないの」という質問を良く受ける。

 答えは単純で、「新しい会社で全く新しいサービスを作るのだから、ターゲット・ユーザーとユーザー・シナリオを絞り込んで、大手SNSサービスとのはっきりした差別化をはかる必要があるから」である。

 ふたたび、今読んでいる"Marketing Management"(MBAの教科書)から引用する。

Successful new firm formation typically requires a competitive strategy that delivers superior value to a narrowly defined target segment in a way that either avoids direct confrontation with established competitors or is difficult for them to emulate.

 この市場に全くのゼロから新規参入する企業としては、既にMySpace, Facebook, Flickrという世界中に何百万人・何千万人のユーザーを抱えるSNSサービスと真っ向から戦うのはどう考えても無理。彼らが提供していない・提供できていない新しい価値を提供しない限りは決してユーザーに使ってもらえない。

 PhotoShareの場合、「iPhoneユーザーのみ」という絞り込みがここでいう"a narrowly defined target segment"に相当するし、"superior value"は常時接続デバイスであるiPhoneの利点を最大限に生かした「いつでも、どこでも、その場で」写真を撮って共有・life loggingすることに特化されたおもてなしである。

 その意味では、「まるで教科書通りのmarket-orientedなもの作り」をしているわけだが、だからと言って成功が保証されていないところがこのビジネスの難しさ。

使い勝手の悪さはユーザーにとってのコストだという話

 今読んでいる「Marketing Management」にこんな文章がある。

Customers buy benefits, not products. The benefits a customer receives from a firm's offering, less the costs he or she must bear to receive those benefits, determined the offer's value to the customer.

 消費者が買うのは「商品」ではなく、「その商品を通して得られるもの」から「それを得るために払わなければならないさまざななコスト」を差し引いた「利益」である、という話。

 ここで強く認識しておくべきなのは、その「コスト」とは単なる商品の購入のために支払うお金だけではなく、その商品を得るためにする労力(例:買い物に行く時間)、その商品を得るために我慢しなければならないもの(例:50インチのテレビを置くために使うスペース)、その商品を使うのに費やす時間(例:ソフトウェアをインストールする時間)、などさまざまなものを含めたものであること。

 ソフトウェアやウェブサービスにおいて、「使い勝手・使いやすさ・おもてなし」がものすごく大切なのは、「使いにくさ・不便さ」がまさにこの「消費者にとってのコスト」に直結しているから。

 「デジカメで撮影した写真をパソコンに移してからFlickrにアップする」という一連の操作は、ユーザーにとっては毎回払わなければならないコスト。私にはそのコストを払ってまでFlickrに写真をアップロードする気には到底なれない(つまり、私にとってのFlickrを使うことによって得られる利益率はマイナス)。

 今回、iPhone+PhotoShareで実現しようとしていることは、この「写真をアップロードするコスト」を徹底的に下げて、より多くの人にとっての利益率をプラスに転じさせること。豊富な機能や他のウェブサービスとの連携なんかよりも、まずは「誰でもその場で簡単に写真が共有出来る」ことを最優先して作った理由はここにある。

 「写真によるコミュニケーション」を「音声通話」や「テキストメッセージ」なみに普及させるためには、もっともっと敷居を下げなければならない。やることはまだまだたくさんある。

Life is a big canvas


 「Big Canvas」という会社の名前は、「インターネットは大きなキャンバス。世界中の人たちが参加する21世紀のルネッサンスを起こす」という思いで付けたのだが、その後に見つけて自分でもちょっと感動したのが、コメディアンのDanny Keye(クレイジーキャッツの「谷啓」はこの人の名前をもじったそうだ)が言った下の台詞。

Life is a big canvas, throw all paint on it you can.

 本当にいい言葉だと思う。敷かれたレールから外れるのには勇気がいるけれど、将来のことは誰にも分からないんだから、それなら自分のやりたいことを貫くために、最大限の努力をして当然じゃないか、という話。

MySpace/Facebookがなぜ日本で成功しないか

 TechCrunchの「SNSの世界進出ーなぜMySpaceとFacebookは日本でだめなのか」は、私が最近強く感じていることと通じることもあり、いろいろと考えされられた(英文でのレスポンスはここ)。

 私と増井君が作ったBig Canvasは、米国法人であり、その最初の商品PhotoShareはAppleのApp Storeを通じて世界同時リリースをした(UIは英語と日本語のみサポート、ただし投稿はどんな言語でも可能)。その意味では、特定の国のユーザーに特化したつもりは全くない。ただ、既に600万人いるiPhone 2Gユーザーを考えれば、SNSとして成り立つに最低限必要な数千人のユーザーを確保するには米国でがんばらねばならないとは強く認識していた。

 米国での一番のライバルは当然MySpaceとFacebookであるが、「常時接続ライフスタイル」に最適化されたサービス作りで「写真版Twitter」を目指せば、それなりのニッチは確保できるとは予想していた。

 実際にサービスを開始してみて驚いたのは、iPhone 3Gが発売されたばかりの日本人ユーザーのアクティビティがとても高いことである。正確な数字を把握しているわけではないが、アプリを走らせているユーザー数では米国7:日本2:その他1ぐらいのはずなのに、写真の投稿数を見ると、時間にもよるが日本6:米国3:その他1ぐらいになっている。

 米国のユーザーの行動パターンで多いのは、自分の写真を数枚投稿したところで満足してしまい、後はコメントだけでのコミュニケーションを取ろうとする形。MySpaceなどはそんな使い方が一般的なので、それをそのまま適用しているようだ。次に多いのは、デジカメで取ったきれいな写真を固めて投稿する使い方。PhotoShareをFlickrと勘違いしているパターンだ。

 それに対して日本のユーザーの使い方は、まさにライフロギング。おはようの挨拶から始まり、お昼ご飯の写真やら、自分の子供の笑顔やら、見に行った花火の写真を一日に数枚投稿してから、お休みで終わるという、主催者側が期待していた通りの「常時接続ライフスタイル」を楽しんでいただいている。

 まさにこの辺りの日米の行動パターンの違いが、MySpace/Facebookが直面している「文化の壁」。全世界に数百万人から数千万人のユーザーを抱えるMySpace/Facebookと比べたら、数千人しかユーザーのいないPhotoShareなど米粒のような存在だが、本当の意味での「常時接続ライフスタイル」の楽しみ方を知っている日本の先進ユーザーに使われているという意味で言えば、彼らより一歩リードしているとも言える。

 ただし、この傾向が極端に進んで日本人しかいないサービスになってしまえば、せっかくの「世界中をiPhoneのカメラを通してリアルタイムでつなぐ」という面白さが半減してしまうので、そこが難しいところ。幸いなことに、米国のユーザーの中にも少しづつライフロギングをしてくれている人が増えているので、私として望むのはそういった人たちもちゃんと増えて、バランスのとれた国際的なコミュニティに育つこと。

 MySpaceもFacebookも、そしてmixiもはてなもまだ成し遂げていないことに、たった二人しか従業員がいないベンチャー企業がチャレンジできてしまう、っていうところがこの業界の楽しいところ。私の友人が「それって直球ど真ん中ですね」と言った理由がここにある。

PhotoShare 今日の一枚:花火、花火、花火

 週末は、日本の各地で花火大会が行われたようで、PhotoShareにもたくさん花火の写真が実況中継されてくるので、妙に臨場感があって楽しい。特に一枚を選ぶのが難しかったので、土日両日に私がFavoritesに加えたもののサムネイル一覧で。

 ちなみに米国では、独立記念日(7月4日)に各地で一斉に花火があがるのだが、花火師たちにとってはその日だけが妙に急がしいわけで、商売としては難しいだろうな、と心配したりして。

Hanabi2

Hanabi1

PhotoShare 今日の一枚:iPhone Lego Dock2

 たんなる飾りではなく、ちゃんと充電してくれるところがすごいと思う。

Today_lego

PhotoShareで富士登山実況中継中

 リアルタイム・ライフロギングのために作られたPhotoShareは、Flickrとは根本的に違うという話は前にも書いたが、今まさにそれを身をもって示しているユーザーの方がいるので報告。こうやって私が見ているわずかな間に、5.5合目、6合目、6.5合目、7合目と一歩づつ富士山を上っている様子を実況中継してくれている(下の画像をクリックするとWeb版が見られる)。それをリアルタイムで世界中の人が共有できるとは数年前には想像もできなかった話だ。

 常時接続のiPhoneだからこそ可能になる常時接続ライフスタイル。しかし、頂上でも電波はとどくのだろうか?

Fuji

Photoshare 今日の一枚:こぶた

 今日の一枚は、一目見た瞬間に心を暖かくしてくれたこの写真(クリックするとWeb版が開く)。

Today_kobuta

PhotoShare 今日の一枚:家の中心で暑いと叫ぶ

 PhotoShareを運営しはじめて明日で三週間。ユーザー・投稿写真の数も着実に増えて来てつくづく感じるのは、PhotoShareの一番の価値はiPhoneやLinuxサーバーの上で走るソフトウェアではなんかではなくて、PhotoShareに写真やコメントを投稿してくれるユーザーの人たちだということ。ゲームは一度クリアしてしまえば終わりだが、ユーザーの間のコミュニケーションの可能性は無限だ。

 そんな中でも、特に気に入ったものがあったらこのブログでもときどき紹介しようかと思う。ということで、記念すべき第一号はこれ(クリックするとPhotoShareのWeb版が開く)。

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 いかにも日本の暑い夏を表現する写真だし、なんと言っても題名が洒落ている。

そば屋の味はカレーライスを売り始めた時から下降線をたどる

 今日もいくつかPhotoShareに関するブログエントリーを見つけたのだが、その中でもとてもうれしかったのがこれ。

 あとはタイトルを付けて「完了」ボタンをタップするだけ。めちゃくちゃ簡単に投稿できます。【 iPhoneのキラーアプリになりそうな写真共有アプリ「Big Canvas PhotoShare」(もとまかApp Selection 第7回) - もとまかのiPhone・iPod touch戯れ日記より引用】

 増井君と一緒にPhotoShareのアーキテクチャの設計した際に、もっとも力を入れたのが「どうやったらこれ以上簡単にすることは不可能なぐらいに簡単に写真を投稿できるようにできるか」という部分。その意味では、「めちゃめちゃ簡単」という言葉は最高の褒め言葉。

 この手のアプリを作っていると陥りがちなのが「機能のてんこもり」。特に他のサービスと比較されることを意識し始めてしまうと、「敵もやっているからうちも」と次々に機能追加してしまい、いつのまにかファミレスのように何でもあるけどどれもおいしくないアプリになってしまうから要注意だ。

 今日も、二人でversion 1.02に関して相談していたのだが、二人の意見が一致したのは「できるだけメニューの数を増やさずにサービスの価値を高めて行こう」という点。タギングの機能だとか、GPSの機能だとかを要求してくるユーザーの声も聞こえてくるが、その手の機能追加がせっかくの「めちゃめちゃ簡単さ」を少しでも損なうのであればそれはマイナスである。

 「そば屋の味はカレーライスを売り始めた時から下降線をたどる」というたとえ話は分かりやすいが、じゃあどの機能追加がカレーライスになってしまうのかを見極めるのが難しい。とくにカレー南蛮あたりが微妙だ。

ミイラ取りがミイラになりそうなPhotoShare

Favorites
 ポルノ画像騒動、アマゾンS3停止、とサービス開始以来二週間連続で週末が大忙しになってしまったPhotoShareだが、今週末は大きな問題もなく過ごすことができ、胸をなでおろしている。

 相変わらず勘違いをしてヌード画像や水着の女性の写真を投稿してくる新規ユーザーはいることはいるが、導入したフィルターリング機能がきちんと働いてくれている上に、本来の使い方であるライフロギングをしているユーザーの数が順調に増えているので、相対的にコミュニティとして健全な方向に向かっているのがとても喜ばしいところだ。

 人気の写真コーナーを見ても、椅子から滑り落ちた酔っぱらいの写真だとか、あっかんべーをした子供の顔などが並び、そのまったりとした「ゆるいコミュニケーション」が楽しくて、「これではミイラ取りがミイラになってしまう」と思いながら、私自身ついつい見入ってしまう。

 若干気になるのは、相対的に見て、勘違いをしている北米ユーザーの数が多いこと。そもそも、ろくな携帯電話もなかった北米のユーザーにとってみれば、まだまだ「iPhoneで撮影して、その場で他の人と共有出来る」という「常時接続ライフスタイル」は理解を超越した話なのかも知れない。しかし、そこは「常時接続ライフスタイル」を何年も実践してきた日本のユーザーの方々が手本を示してくれているので、時間が解決してくれると楽観視している。

 運営開始後わずか二週間で、一日2000枚もの写真が投稿されるようになったPhotoShare。iPhoneを持っている方々にはぜひとも使っていただきたいのはもちろんのこと、「PhotoShareで遊びたいからiPhoneに切り替える」という人が出るぐらいまで魅力的なサービスに育てたいと考えている私である。