ボブスレーは、「氷上のF1レース」とも呼ばれる。そりは、より大きなスリルを求めようとする人々によって開発され、オリンピックでは1924年の第1回シャモニー・モンブラン大会から正式競技になっている。オリンピックでは男子だけが行う協議で、2人乗りと4人乗りの2種目。流線型をした鋼鉄製シャーシのそりに乗り、轟音をたてながら全長約1300mの氷の壁を疾走する。1988年の第15会カルガリー大会では最高時速が143kmにも達した。 |
ボブスレー出走資格
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競技方法そりは繊維強化プラスチックで覆われ、前方にハンドル、広報にブレーキを備えている。前と後ろにそれぞれ2ホンのスチール製エッジ(ランナー)があり、ドライバー(パイロット)が前部のライナーをハンドルで操作しながら滑走する。 |
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後ろでブレーキを操作する選手(4人乗りでは、2,3番目の選手も含む。)は、頭を下げてひたすら小さくなり、空気の抵抗を少なくする。ブレーキは停止用で、コースを傷つけるため、途中では使用できない。滑走中、パイロット以外は前を見ず、押しつぶされるような重圧に耐えている。総重量が重いほど加速がついて有利になるため、そりと乗り込む選手の合計体重は、2人乗りが390kg以下、4人乗りは630kg以下に制限されている。選手の体重が軽いときはおもりを積み込んでもよいが、スタートでそりを押すときに余分な力が必要になり加速しにくくなる。総重量はゴールしてから測定する。また、ランナーの温度が高いほどスピードがでやすくなるため、基準ランナー(主催者が戸外につり下げたもの)との温度差が4度以内でなくてはならず、スタート時に温度を測定する。 | ![]() |
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どんな姿勢でも全員乗り込めば記録は認められるが、一人でも乗り込みに失敗すれば失格。 | ||||||
他競技出身の選手も挑戦
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ボブスレーリュージュ会場 スパイラルボブスレーとリュージュは、長野市街地北部の飯綱山麓の浅川地区に建設されたアジアで初めての人工凍結トラックで行われる。愛称は「スパイラル」。 |
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スパイラルは、山林の東北斜面18haに、15のカーブが連続する総延長約1700m、標高差113mのコースを建設。長野オリンピックの基本理念「自然との共存」を考慮して自然の地形に合わせた結果、世界で初めての途中2カ所の上り勾配があるコースとなった。コースの造成では、工事の際にはがした表土を造成後に植栽のための盛り土とし再利用する表土復元法や、地域の植生ににあわせた幼苗を植える幼苗植栽法を用い、植生の積極的な復元をはかる工夫をしている。 コースの冷却には、環境に配慮して、ボブスレー、リュージュ施設としては世界初のアンモニア間接冷却方式を採用し、コース内に走る複数のパイプに、機械棟内のアンモニア冷媒で冷却した不凍液を流します。パイプに直接アンモニアを流す従来の方式と違い、アンモニアの使用量が少なく、コースが破損してもアンモニアが漏れる心配はない。 コースを56カ所に分け、それぞれの区間の氷の温度をコンピューターが自動制御し、日照で温度が上がると、自動的に冷やして、どの部分でもむらなく均一な氷温にコントロールできます。施設としてコースのほかにスタートハウス(2棟)、格納庫、管理棟、計量棟、機械棟(3棟)を建設しました。 |
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オリンピック後は競技施設、レジャー施設として活用する。 長野大会のボブスレー・リュージュトラックは、自然の地形を生かして作ったために、途中に上りが2カ所できた。勾配のきつい2つ目の上りでは、両競技ともそりのスピードが時速10km以上も落ちる。それまで時速120km以上で滑っている選手にとって、減速の感覚は数字以上。世界でも例のない特殊なトラックだ。そりを押しながら走ってスピードを付けるボブスレー、そりに乗った状態で反動をつけてスタートするリュージュの両競技とも、途中のカーブではわずかな減速はあるものの、ふつうならばトラック終盤で最高スピードに達する。しかし、長野トラックは、トラック全体のおよそ3分の2の地点にある2つ目の上りで減速するため、最高スピードになるのは上りの直前だ。トラックのほぼ中央にある最初の上りは50mの間にやく1.9m上る。勾配は3.8%、最大5%。減速はほとんどない。しかし、2つ目の上りは123mの間にやく12mも上る。勾配は平均9.7%、最大15%となっている。競技関係者は「世界にあるこれまでのトラックは、前半にミスがあっても最高スピードがでる終盤をまとめれば、取り返しがつくが、長野トラックは前半にミスがあってスピードに乗れないと致命的になる」と分析している。 |
参考文献