WHAT is BOBSLEIGH ?
ボブスレーは、「氷上のF1レース」とも呼ばれる。そりは、より大きなスリルを求めようとする人々によって開発され、オリンピックでは1924年の第1回シャモニー・モンブラン大会から正式競技になっている。オリンピックでは男子だけが行う協議で、2人乗りと4人乗りの2種目。流線型をした鋼鉄製シャーシのそりに乗り、轟音をたてながら全長約1300mの氷の壁を疾走する。1988年の第15会カルガリー大会では最高時速が143kmにも達した。


目次

ボブスレーの歴史


そりには運送するという目的では長い歴史があるが、スポーツとしてのボブスレーの歴史は、トボガン(アメリカで綿作地帯で使用する 綿摘み機械)にハンドル操作可能にしたことで、19世紀になってようやく始まった。
1897年世界で最初のボブスレークラブがスイスのSt.Moritzに創設され、ウィンターリゾートのスポーツとしてヨーロッパで広まった。1914年には自然の氷のコースを使用したボブスレー競技が広く行われた。
最初のレースで使用されたそりは、木製であったが、すぐにボブスレーが知られていくに従い金属製になり、直線でのスピードが増加するにつれ選手が前後ろに振れる(=bob)ことから、ボブスレーと名付けられた。
1923年 FIBT(Federation Internationale de Bobsleigh et de Tobogganing)が創設され、翌年にはフランスChamonxで行われた冬季オリンピックで最初の4人乗りボブスレー競技が行われた。1932年のアメリカLake Placidで行われた冬季オリンピックで2人乗りも開始され、現在に続いている。
ボブスレー競技は、週末に金持ちや冬山リゾート客の遊びの一つとして開催されていたので、練習などはなく、競技参加者はそりを買ったり借りてそりに乗り滑った。
1950年台になって、今日我々が知っている形になった。スタートの重要性が認識され、他競技でのスプリンターがボブスレーに移籍した。陸上競技選手やハンドボールの選手、体操選手がスタート時の押し出す力を買われ、捜された。
1952年、選手全員の体重制限に関するルールが変更され、重い体重の選手による時代が終わり、運動競技としてのボブスレーが始まった。
さらに、そり及びトラックのめざましい開発があった。今日では世界のトップチームでは人工氷のトラックをファイバーグラスや金属製のハイテクそりを使用している。
1980年半ばワールドカップが始まるまでは、ボブスレーはオリンピック・世界欧州大会で行われていた。ワールドカップの始まりは、様々なコースを長い期間行われると言う新しい一面を付け加えた。
初期の頃の英国は別にして、1928-1956年には強いアメリカが君臨し、最近では様々な国が力を付け、通年ヨーロッパのアルプス地方で広まっている。
もっともボブスレーで成功をおさめた国は、スイスとドイツであろう。
スイスは、オリンピック・世界欧州大会・ワールドカップにおいて他国より多くメダルを獲得している。
東ドイツは、1970年代半ばに新しいそりの形と構造で、新たな力をつけた。ドイツ統一前、ボブスレー選手は、数々のオリンピック世界大会でメダルを獲得し1990年まで侮りがたいチームだとされていた。
イタリアは長い間、特に1950年代半ばより1960年代後半まで数々の記録を持っていた。しばらくオーストリアチームに抜かれたこともあったが。
ワールドカップでは、スイスとドイツが、カナダチームがそれに続くが、ほとんどのメダルを独占している。
ボブスレーを始めたアルプスの小さな地方から、現在では世界中、ジャマイカ、日本、オーストラリア、ニュージーランドに広く知れ渡るようになった。
過去のボブスレーの強い国は未だ健在であるが、他の国も力を付けている。winterbergで1995年に行われた世界大会で、4人乗りで10位以内に8カ国が入り、2人乗りでも7カ国が入った。
1990年代には、女子ボブスレーがヨーロッパ・北米で開催された。
1998年冬季オリンピック開催される長野また2002年開催予定のSalt Lake City
では、新しい人工コースが造られ、ボブスレーの新しい歴史が作られていおくであろう。

〜Corel WordPerfect Bobsleigh World Cup Series Media Guide (原文:英語)〜


ボブスレー観戦ガイド

そり

そりは、4つの金属製のランナーを取り付けたファイバーグラスと金属で作られている。前の2つのランナーはおよそ3インチほど可動で、ワイヤーでつながりパイロットが運転可能になっている。ブレーキハンドルは4人乗りの場合にはブレーカーの横に2人乗りに場合にはブレーカーの前にある。金属製のランナーの温度は各レース直前に電子計測される。ランナーを加温することは違反である。最後にそりと選手は、最大重量を超えていないか測定する。すべてのそりはFIBTによって規定されいる。1985年にFIBTによって規格が設定された。

2人乗り 4人乗り
長さ 2.7mまで 3.8mまで
0.67mまで 0.67mまで
重量

(そりと選手を含む)

 

390kgまで 630kgまで

その他の器具

ボブスレー選手は、ヘルメットをかぶり、伸縮素材をしようした皮膚に密着したユニホームを着用する。シューズには底にスパイクがついている。またパイロットはゴーグルをつけ、手袋をはめる。ただし運転がしやすいと素手の選手もいる。選手はまたユニホームの上から膝・肩にパットをつける。

トラック

今日では、自然な氷のトラックはわずか2・3残っているだけでほとんどの大会はコンクリートの上に人工の氷で作ったトラックで行われる。標準的な長さは1500mであるが、各コースによってそれぞれ異なり難易度も異なる。

レース

ボブスレーチームには、2人乗りにはパイロットとブレーカーが、4人乗りには、それに加え2人の乗員が加わる。スタートより選手は50mまでそりを押す。この間に、そりに乗り込むまで、6秒以内に40km/hを超えるスピードに達する。上位チームでは、スタートタイムの差が1/10-1/100秒でスタートが大変重要である。スタートにおける1/10秒のリードは、コース終盤では3/10秒の差になる。60秒間のランのうち、スピードは135km/h以上になり選手には4倍の重力がかかる。

ワールドカップサーキット

 ワールドカップ大会は、FIBTによって参加国で行われ、大会は一つの国もしくは一つのトラックで行われる。ワールドカップ大会では各大会1日以上かけて2ヒート行う。オリンピック・ワールドチャンピオンシップでは、2日以上かけて4ヒート行う。全タイムを合計し最速のチームが優勝となる。

スタート順位

 オリンピック・ワールドチャンピオンシップ・ワールドカップはもちろん、各大会では、スタート順位を決定するためにシード方法をとっている。大会が進むにつれて、氷は柔らかくなってくるのでトラックに最初に滑った方が有利である。シード方法では、前回の結果でトップだったチームが、次回は最後に滑る。同様に他のチームも前回の結果を元に出走順が決定される。各シーズンの最初のワールドカップでは、全シーズンの結果の最後の結果を反映する。同じシーズン中では以下のようにスターティンググループが決定される。


1 group I 1 -10
2 group II 11- 20
group III 21 - 30
group IV 30 -

ランキング

 各ワールドカップでのトップ30位までにポイントが与えられる。ワールドカップのタイトルは、シーズン中を通じもっとも多くのポイント得た選手に与えられる。

ボブスレー出走資格

A) 前のオリンピックと今回のオリンピックの間に、過去最近5回の国際ルールにのっとた国際大会に出場経験があり、少なくとも3コース以上の異なったトラックを走行したパイロットがオリンピックに出場できる。
B) 次のいずれかを満たす選手 但しポイントは「2人乗り」に参加した2人の競技者・「4人乗り」に参加した4人の競技者に与えられる。

    • 少なくともワールドカップで10ポイント・ヨーロッパカップで20ポイント・アメリカンカップで45ポイント
    • 前シーズンに、ワールドカップ50ポイント・ヨーロッパカップ/アメリカンカップで100ポイント 

    A)/B)以外では、少なくとも10チーム以上の参加者がある毎年開催される各国での国内大会を行った国から出場するパイロット 但しそのためにはFIBTに要求に従った書類を提出しなければならない。

C) オリンピック冬季大会においては、次にあげる選手が参加できる。

    • 以前参加したことがなくても、オリンピック冬季大会を開催する国よりパイロット一人
    • 上記参加資格がなくても各大会でトップになったパイロット

    ただし上記の場合についても、少なくとも B)の条件をクリアしていなければならない。

D) オリンピック冬季大会においては、各選手は最高で2チームに出走できる。公式練習では3チーム以上に出走できる。

 

競技方法

そりは繊維強化プラスチックで覆われ、前方にハンドル、広報にブレーキを備えている。前と後ろにそれぞれ2ホンのスチール製エッジ(ランナー)があり、ドライバー(パイロット)が前部のライナーをハンドルで操作しながら滑走する。
スタートダッシュでどれだけスピードをつけられるかが、勝負を大きく左右する。選手は呼吸を合わせながらそりを押して走り、加速をつけて素早く乗り込む。押す距離はおよそ50−60mになる。乗り込むタイミングがずれるとスピードのロスにつながる。
乗った後は一番前に座るパイロットの腕の見せどころ。ハンドルを握って前部のランナーを操り、氷壁との接触をさけたり、カーブでは滑走ラインを選択する。

後ろでブレーキを操作する選手(4人乗りでは、2,3番目の選手も含む。)は、頭を下げてひたすら小さくなり、空気の抵抗を少なくする。ブレーキは停止用で、コースを傷つけるため、途中では使用できない。滑走中、パイロット以外は前を見ず、押しつぶされるような重圧に耐えている。総重量が重いほど加速がついて有利になるため、そりと乗り込む選手の合計体重は、2人乗りが390kg以下、4人乗りは630kg以下に制限されている。選手の体重が軽いときはおもりを積み込んでもよいが、スタートでそりを押すときに余分な力が必要になり加速しにくくなる。総重量はゴールしてから測定する。また、ランナーの温度が高いほどスピードがでやすくなるため、基準ランナー(主催者が戸外につり下げたもの)との温度差が4度以内でなくてはならず、スタート時に温度を測定する。
どんな姿勢でも全員乗り込めば記録は認められるが、一人でも乗り込みに失敗すれば失格。

他競技出身の選手も挑戦

滑走中にハンドルを操作するパイロット(前に乗る選手)は経験が重視されるが、後ろに乗るブレーカーは比較的短期間で強化しやすい。重量のあるそりを押すパワーや瞬発力が求められるため、陸上などの他競技から転向してくる選手が目立つのが特徴だ。
競技人口の少ない日本では、選手を発掘するため、1992年からコントロールテストを実施している。テストは20m走、60m走、300m走、立ち5段飛び、ベンチプレス、スクワットの6種目。これらの内容は、陸上の投てき種目や十種競技をやっていた選手に有利といえる。
前回のリレハメル大会四人乗りで十種競技出身が出場を果たした。これが刺激となって陸上選手が積極的に挑戦し、全日本チームに参入している。

ボブスレーリュージュ会場 スパイラル

ボブスレーとリュージュは、長野市街地北部の飯綱山麓の浅川地区に建設されたアジアで初めての人工凍結トラックで行われる。愛称は「スパイラル」。

スパイラルは、山林の東北斜面18haに、15のカーブが連続する総延長約1700m、標高差113mのコースを建設。長野オリンピックの基本理念「自然との共存」を考慮して自然の地形に合わせた結果、世界で初めての途中2カ所の上り勾配があるコースとなった。コースの造成では、工事の際にはがした表土を造成後に植栽のための盛り土とし再利用する表土復元法や、地域の植生ににあわせた幼苗を植える幼苗植栽法を用い、植生の積極的な復元をはかる工夫をしている。
コースの冷却には、環境に配慮して、ボブスレー、リュージュ施設としては世界初のアンモニア間接冷却方式を採用し、コース内に走る複数のパイプに、機械棟内のアンモニア冷媒で冷却した不凍液を流します。パイプに直接アンモニアを流す従来の方式と違い、アンモニアの使用量が少なく、コースが破損してもアンモニアが漏れる心配はない。 コースを56カ所に分け、それぞれの区間の氷の温度をコンピューターが自動制御し、日照で温度が上がると、自動的に冷やして、どの部分でもむらなく均一な氷温にコントロールできます。施設としてコースのほかにスタートハウス(2棟)、格納庫、管理棟、計量棟、機械棟(3棟)を建設しました。
オリンピック後は競技施設、レジャー施設として活用する。
長野大会のボブスレー・リュージュトラックは、自然の地形を生かして作ったために、途中に上りが2カ所できた。勾配のきつい2つ目の上りでは、両競技ともそりのスピードが時速10km以上も落ちる。それまで時速120km以上で滑っている選手にとって、減速の感覚は数字以上。世界でも例のない特殊なトラックだ。そりを押しながら走ってスピードを付けるボブスレー、そりに乗った状態で反動をつけてスタートするリュージュの両競技とも、途中のカーブではわずかな減速はあるものの、ふつうならばトラック終盤で最高スピードに達する。しかし、長野トラックは、トラック全体のおよそ3分の2の地点にある2つ目の上りで減速するため、最高スピードになるのは上りの直前だ。トラックのほぼ中央にある最初の上りは50mの間にやく1.9m上る。勾配は3.8%、最大5%。減速はほとんどない。しかし、2つ目の上りは123mの間にやく12mも上る。勾配は平均9.7%、最大15%となっている。競技関係者は「世界にあるこれまでのトラックは、前半にミスがあっても最高スピードがでる終盤をまとめれば、取り返しがつくが、長野トラックは前半にミスがあってスピードに乗れないと致命的になる」と分析している。

 参考文献